IR法案のパチンコ業界への影響について

日本では2016年12月にIR法案が成立しました。これにより日本でもカジノが合法になる可能性があります。これまで日本ではパチンコがギャンブル的な存在として楽しまれてきましたが、このIR法案によってパチンコ業界が少なからず影響を受けることが予想されています。この記事では、IR法案とパチンコの関係性について紐解いていきます。

そもそもパチンコは違法？

IR法案との関連性について考える前に、多くの人は日本におけるパチンコが合法なのか、という疑問を持っていることでしょう。結論からというと、日本でのパチンコはギャンブルではなく、「遊戯」という扱いになっているため合法だとされています。

パチンコ店ではその場で直接現金を渡すことはせず、パチンコで獲得した景品を店舗外の交換所で現金に換える、という方式をとっています。つまり、現金のやり取りを直接行うのではなく景品を仲介させることで合法としているのです。イカサマのようにも思えますが、パチンコは警察庁の管轄のものと運営されており、グレーゾーンのように思えても合法的に運営されているのです。

このような仕組みにより、パチンコは長年にわたって日本でギャンブル的な存在として親しまれてきました。

 

IR法案とは

IR法案の正式名称は統合型リゾート整備推進法と言います。また、IR法案によってカジノが合法化するかが注目されていることから、カジノ法案とも呼ばれています。

このIR法案はカジノ法案と呼ばれていることから誤解している人が多いですが、本来はカジノを合法化するためのものではなく、観光産業の活性化を目的として作られた法律です。つまり、日本にリゾート地を増やすことを目的としているのです。そして、その中で計画されている大型リゾートの中に、カジノが設置されるかもしれない、ということです。しかし、IR法案によってカジノが日本に誕生するかもしれない、という事実ばかりが注目されてしまったため、カジノ法案と呼ばれているのです。

このIR法案によってリゾートが開発されることによって、外国人観光客の増加、インフラ整備による雇用の促進、税収増加などの効果が期待されています。世界的に観光地として人気の日本にさらにリゾート地が充実すれば、その経済効果は抜群です。現地点ではリゾートの建設地として台場（東京）、幕張（千葉）、名古屋（愛知）、マリーナシティ（和歌山）、苫小牧（北海道）、ハウステンボス（長崎）、横浜（神奈川）などの都市が検討されています。

 

ギャンブル依存症対策とパチンコ

IR法案が成立し、カジノが実際に日本国内で合法化されるとギャンブル依存症が増大するのではないか、という懸念があります。これにより、IR法案成立に当たってはギャンブル依存症対策基本法案が議論されています。

このギャンブル依存症対策基本法案が成立すればギャンブル的な存在であるパチンコも少なからず影響を受けるはずです。今後規制が厳しくなり、今までのように自由に運営できなくなる可能性も考えられます。

そのため、このギャンブル依存症対策基本法案を見据えて、パチンコ業界ではすでにいくつかの動きがみられています。その対策には以下が含まれます。

 

・1回の大当たりの出玉を2,500発から1,500発に減少させる。

・大当たりの回数を最大16回から10回に減少させる。

・4時間での出玉払い出しを発射数の1.5倍未満に抑える。

 

これらにより射幸性を下げ、依存症となるとを防ぐというのがパチンコ業界の狙いです。このようにして、パチンコによるギャンブル依存症を減らそうという動きがすでに始まっているのです。

パチンコ業界の未来

IR法案によって日本にカジノが誕生すると、パチンコ業界の衰退につながるのではないかと心配している人もいることでしょう。これはこれまでパチンコを利用していて人はカジノに流れる可能性があるからです。

しかし実際には、カジノとパチンコはターゲットが異なるため、カジノが誕生したからと言ってパチンコの人気を衰えるというのは考えにくいといえます。パチンコは街の至るところにあり、主に一般人向けに営業しています。一方でカジノは主にリゾート地に建設され、富裕層、外国人観光客向けに営業されます。入場料やドレスコードの有無など、どの営業スタイルも大きく異なります。

このようにパチンコとカジノではターゲット層が全く異なるため、共存が可能だと考えられます。