意外と知られていませんが、ギャンブルには長い長い歴史があります。ギャンブルは紀元前から始まっており、人々の間で楽しまれていたのです。
原始時代のギャンブル
歴史上最初のギャンブルとして知られているのは原始時代の呪術です。原始時代には枝や石、羊や牛の足の骨を地面に投げることで未来を占う呪術が行われていました。
まずはものを投げる前に未来や現在の出来事に対して問題点を提起します。そして、ものを投げた時の落ち方によって、表面が上であればイエス、裏面が上であればノーと言うように占っていたとされています。
しかし、時が経つにつれ、運命を予想することよりも結果を予想する賭けを行った方が楽しいことに気が付き始めます。これにより、現在のようなトスゲームが始まったのです。これがギャンブルの原点だとも言えます。
紀元前2300年
紀元前2300年頃の古代中国では、タイルを使用してギャンブルに使用されていたことがわかっています。中国の本の中で、タイルが宝くじのようにギャンブルで使用されていたことが記されています。また、現在でプレイされているキノも当時からプレイされていたとされています。
紀元前500年
ローマ帝国では中国から伝わったコイン投げやくじ引きが楽しまれていたとされています。また、ギリシャでは貝殻を使用してコイン投げに似たゲームがプレイされていたことが知られています。ギリシャでは空腹を満たすために、ダイスを振って遊んでいたこともこれまでの研究で明らかになりました。
そして、このダイスはギリシャから古代ローマへも伝えられたことが知られています。新約聖書には、ローマ兵がくじを引いたか、ダイスを振ったかして、処刑されたイエスキリストの衣服を誰が手にするかを決めたと記されています。
さらに、古代ローマではダイスが大変な人気を集め、ネロやクラウディウスといった皇帝も熱心に遊んでいたといわれています。しかし、これにより臣下たちが職務を怠るようになったため、ギャンブルは特別な祭日にしかできないように制限されてしまいました。これにより、ローマ帝国の崩壊と共に、ダイスが人々の間から消えていきます。
しかし、ハザート(Hazart)というアラブの要塞でこのゲームを知った十字軍によって、数世紀の後にヨーロッパに再び紹介されたと言われています。これが12世紀後半の出来事です。そして、ヨーロッパ全土でダイスは人気を集め始め、イギリスやフランスの貴族たちの間でもプレイされるようになります。後に王族から農夫まで幅広い人の間でプレイされるようになるのです。
9世紀の中国
初めてカードゲームがプレイされるようになったのは、9世紀の中国だとされています。彼らがどのようなゲームをプレイしていたかどうかは文献が見つからないため明らかになっていませんが、今日子供たちの間でプレイされているようなトレーディングカードが当時の中国で存在していたという意見があります。
また、他の歴史家は当時の中国でチャイニーズドミノのようなゲームがあったという主張もしています。いずれにせ、当時中国でプレイされたカードは現在の52枚のものとは大きく形式が異なるものだったとされています。
13世紀のイタリアとフランス
13世紀になると、バカラが誕生します。イタリアやフランスなどどの国で発明されたかについては諸説ありますが、当時のヨーロッパでは複数の国でバカラに似たゲームがプレイされていたことが知られていす。
当時プレイされていたバカラは現在のものとはルールが大きく異なり、時代の流れと共に何度もルールが改良されてきました。そして、新しいものが誕生してはそれが改善されていく、ということが繰り返されてきました
そして、バカラはヨーロッパからアメリカにも伝わり、世界中でプレイされるようになります。
15世紀
15世紀になるとブラックジャックが誕生します。ブラックジャックの誕生についても諸説ありますが、スペインで誕生したventiuna (21) というゲームがブラックジャックの原点だという説が有力となっています。このゲームに関しては1601年にDon Quixoteによって書かれた本の中でも紹介されています。
また、1570年ごろにプレイされていたtrente-un (31)や、1560年頃のフランスでプレイされていたquinze (15)というゲームがブラックジャックの原点だという説もあります。このようにブラックジャックに関してはいろいろな仮説があり、どれが本当かを特定することができていません。
しかし、17世紀のフランスでプレイされていたvingt-et-unというゲームが現在のブラックジャックに一番近いゲームだとされ、これが発展して現在のブラックジャックになったといわれています。そして、このゲームはフランスからの移民によってアメリカにも伝えられます。
ブラックジャックという名称は1930年代のネバダ州のカジノで行われたプロモーションから名づけられたとされています。このプロモーションはクラブまたはスペードのJで特別なボーナスが得られるというものであり、そのため、ゲーム自体がブラックジャックと呼ばれるようになったのです。今ではこの特別ルールはなくなってしまいましたが、ブラックジャックという名称だけは引き継がれているのです。
1638年のイタリア
1638年のイタリアで、世界初のカジノが誕生したとされています。the Ridottoはベネチアのカーニバルを盛り上げる目的で設立されます。そして、これをきっかけに19世紀までに多くのカジノがヨーロッパ中に誕生します。
同時に、アメリカでは非合法的にカジノが増えていきます。特にミシシッピーではたくさんのカジノが誕生し、この地域にはギャンブラーが集まりました。そして、プロのギャンブラーやイカサマ師たちが「カモ」を餌食に大儲けをしていたことが知られています。これにより、ミシシッピー川沿いには商人や川船のギャンブラーが宿泊する街が次々と生まれていきます。この時、くじ引きやダイスだけではなく、同じコースを旅する2艘の船のどちらが先に目的港に着くかなど、川船を対象にしたギャンブルが行われていたことも知られています。
そして、川沿いに誕生した多くの街の中でも特に有名なものがニューオーリンズです。19世紀になるとニューオーリンズは非公式のギャンブルの中心地となり、ここにフランスやスペインからの入植者によってブラックジャックやバカラ、ポーカー、ルーレット、クラップスなどのゲームが紹介されます。これにより、ニューオーリンズはさらにギャンブルの街として著しく発展し、19世紀半ばまでに、400以上の賭博場と5つの競馬場を有するに至ったのです。
1796年、フランスでルーレットの誕生
現在私たちがプレイしているルーレットは1796年にフランスのゲーミングハウスで誕生しました。当時のフランスでプレイされていたのは、現在アメリカンルーレットと呼ばれるタイプのルーレットであり、それから約50年後にヨーロピアンルーレットが誕生したと言われています。ヨーロピアンルーレットでは0の区画が1つになったため、プレイヤーに有利となり、ギャンブラーの間ではこちらが好んでプレイされるようになります。
そして、モンテカルロのカジノでヨーロピアンルーレットが採用されたことをきっかけに、ヨーロッパ全土にヨーロピアンルーレットが広まっていったとされています。しかし、アメリカではヨーロピアンルーレットの誕生後も、アメリカンルーレットのみが中心にプレイされます。
1829年、ポーカーが大ブームに
ポーカーの起源は現在でも明らかになっていません。ポーカーに関しても多数の仮説があり、ポーカーの起源として多くのカードゲームが候補として主張されています。17世紀のペルシャでプレイされていたゲームがポーカーの原点だと主張する人もいれば、フランスでプレイされていたPoqueがポーカーの原点だと主張する人もいます。
ただ一つポーカーにおいて明らかなことは、1929年にアメリカのニューオーリンズにて、Joseph Crowellというイギリスの俳優によってポーカーがプレイされたという事実のみです。ポーカーは長年人気が出ずに、一部のギャンブラーの間でプレイされるだけでした。
しかし、1970年代にラスベガスで開催されたワールドポーカートーナメントによって、ポーカーが爆発的に人気になります。ポーカーがプレイされる様子はテレビでも放送され、アメリカ全土で知名度を上げたのです。そして、2003年のワールドポーカートーナメントがアマチュアのポーカープレイヤーが優勝し大金を獲得したことから、多くの人が「自分でも億万長者になることができる」という夢を抱くようになり、ポーカープレイヤーの数が急増するのです。
1900年以降
このころになると、ブラックジャックやバカラ、ポーカー、ルーレットが世界中でプレイされるようになり、世界中でカジノが設立されていきます。そして、マカオ、ラスベガスなど世界中で現在カジノ都市と呼ばれる場所が誕生し始めるのです。
そして、日本ではパチンコ、競馬、ボートレースなどが誕生し、カジノとは違う形でギャンブルが楽しまれるようになります。1996年にはパチンコ業界がピークを迎え、30兆円産業などと呼ばれるようにもなりました。
それと同時に、ヨーロッパではオンラインカジノが登場し始めます。これにより、自宅からでもカジノゲームがプレイできるようになり、現在のように世界中でオンラインカジノが人気を集めるようになるのです。